AtrosabとAtrosimab

AtrosabとAtrosimabは、炎症性腫瘍壊死因子受容体1(TNF-R1)を特異的に標的とする抗体由来の薬剤候補であり、TNF-R2に作用することなく、TNF-aによるTNF-R1の活性化を阻害することができます。

TNF-R2はウイルスや細菌感染の防御において重要な役割を果たすことで知られており、その機能を阻害しない化合物は他のTNF拮抗薬と比較して優れた安全性プロファイルを持つことが期待されています。特に、神経障害や日和見感染といった症状の発生を防ぐ上で重要となります。

TNF-a伝達経路は線維化を引き起こす慢性肝疾患の進行に関与するため、治療抗体によるアプローチは、非アルコール性脂肪肝炎(NASH)などの疾患予防あるいは治療に対して意義のある治療選択肢となる可能性があります。

Atrosab

完全長ヒト型抗体のAtrosabは、NASHマウスモデルにおいてTNR-R1阻害を介した有効性が示されており、繊維化やアポトーシスなどの主要な疾患パラメータを選択的に抑制することができます。

前臨床におけるコンセプトの証明実験では、関節リウマチ1 および多発性硬化症2の動物モデルで効果が示されています。さらに、Atrosabの適応症となりうる疾患として、乾癬性関節炎、強直性脊椎炎、尋常性乾癬、炎症性大腸炎、膵炎、およびアルツハイマー病が挙げられます。

Atrosimab

AtrosimabはAtrosab3の次世代型誘導体です。それはより親和性が高められ、ヒンジ領域とCH1ドメインを欠く一価抗体の構造を有しています。プロセスの最適化により、Atrosabと比較して次のような優れた特徴を持っています。

さらにAtrosimabは、標準的なFabやscFv(一本鎖Fv)フラグメントよりも半減期が長くなるよう設計されています。

Atrosimabは現在、NASHおよび他の免疫介在性炎症性疾患の治療を目指し、早期前臨床試験の評価が行われています。


参考文献

  1. Abe Y et al. Anti-Inflammatory Effects of a Novel TNFR1-Selective Antagonistic TNF Mutant on Established Murine Collagen-Induced Arthritis. Adv Exp Med
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