再生医療とは

再生医療とは、先天的な異常を改善したり、外傷、疾患、加齢による損傷を修復するという、ヒト細胞・組織・臓器を補完もしくは再生する技術の総称です。

技術と発生生物学を融合した再生医療は、様々な材料や細胞を利用し、組織の治癒や構造的または機能的な損傷を負った組織の補完を図ります。特に皮膚、心臓、腎臓、肝臓などの臓器再生・補完が期待されています。1

機能不全又は損傷の著しい臓器の修復・補完をするためには、移植が最適であることは現在でも変わりありません。しかし、増え続ける需要に対し、提供可能な組織・臓器の数が追いついていないというのが現実で、代替療法へのニーズが一層高まっています。

現在、再生医療においておそらく最も有名な分野は、幹細胞の研究に代表されるような細胞治療です。これは未分化細胞を操作して特定の細胞型又は組織型を発生させるものです。この研究は胚から採取した幹細胞を使用することから、倫理的問題も提起されています。一方で、がん細胞や骨髄細胞などの成人由来幹細胞は、入手のしやすさやその安全性が確認されていることから、より多く利用されています。2


世界各国で承認されている再生医療の例

再生治療(細胞、非細胞)のヒトへの活用は、創傷治癒、筋肉・骨治癒など様々な適応症で既に規制当局から承認されています。
その一部を以下にご紹介します。

これ以外にも、現在より多くの再生治療が臨床試験や前臨床試験で評価されています。

細胞免疫療法

様々ながん
移植片対宿主病

遺伝子治療薬

メラノーマ(黒色腫)手術皮膚病変
重症虚血肢
筋ジストロフィー
網膜ジストロフィー

細胞治療薬

軟骨欠損を含む結合組織障害熱傷1型糖尿病脊髄損傷

組織工学製品

骨欠損、軟骨欠損
心血管異常
創傷治療
皮膚障害(熱傷、瘢痕を含む)

現在、再生医療が直面している最も困難な課題は、幹細胞の分化、分離、その系統の多様性だけではなく、標的とする欠陥臓器や必要とされる血液循環系や神経系に細胞を正確に集積させることの難しさも挙げられます 3。そのため、細胞や成長因子など様々な生物学的因子を併用して細胞足場材料のバイオプリンティングを実現しようと多くの研究が行われています。

3Dバイオプリンティング技術を利用して、機能心臓弁やさらには拍動する心臓組織も作製されています。こうしたパッチを移植して、梗塞した心臓を改善することに成功しています。また、様々な薬剤候補を対象とするハイスループット研究を可能にするミニ肝臓も既に作製されています。こうした技術は、癌領域や薬剤毒性など他の研究分野でも高い有用性があります。3


参考文献

  1. Mao AS, Mooney DJ. Regenerative medicine: Current therapies and future directions. Proc Natl Acad Sci USA. 2015;112:14452-14459.
  2. Mironov V, Visconti RP, Markwald RR. What is regenerative medicine? Emergence of applied stem cell and developmental biology. Expert Opin Biol Ther. 2004;4:773-781.
  3. Dzobo K et al. Advances in Regenerative Medicine and Tissue Engineering: Innovation and Transformation of Medicine. Stem Cells Int. 2018;2018:2495848.